「エアコンをつけるとブレーカーが落ちる」
夏場になると、こういった相談が増えてきます。
ただ、一口に「ブレーカーが落ちる」といっても、原因は一つではない。
ここでまず確認してほしいのが、
「どのブレーカーが落ちているのか?」ということです。
家全体の電気が落ちたのか。エアコンの回路だけが落ちたのか。
それとも漏電ブレーカーが落ちたのか。
実際の現場でも、まずここを確認します。
なぜなら、漏電ブレーカーが落ちるのと、電気の使いすぎなどで主幹や配線用ブレーカーが落ちるのでは、考える原因がまったく違うからです。
まず確認したい「どのブレーカーが落ちたのか」
一般家庭の分電盤には、いくつかの種類のブレーカーがあります。
大きく分けると、
- 契約容量を超えたときに電気を止めるもの
- 漏電を検知して電気を止める漏電ブレーカー
- 各回路の使いすぎや短絡などから配線を守る配線用ブレーカー
などがあります。
ここを区別せずに、
「エアコンをつけたらブレーカーが落ちたから、エアコンが壊れている」
と判断するのは早いです。
原因① エアコンだけではなく家全体で電気を使いすぎている
夏場に多いのがこれです。
エアコンそのものに異常がなくても、
家全体で同時に使っている電気が多ければブレーカーが落ちることがあります。
例えば、
エアコンを使用中に電子レンジを使う。炊飯器が炊飯を始める。ドライヤーを使う。
さらに別の部屋でもエアコンを使っている。
こうした電化製品の使用が重なると、家全体で使用する電流が大きくなります。
「エアコンのスイッチを入れた瞬間に落ちた」
としても、必ずしもエアコン単体が原因とは限りません。
最後にエアコンをつけたことで、全体の使用量が上限を超えただけ
ということもあります。
特に電子レンジ、炊飯器、エアコン、ドライヤー、IHなどは同時使用時に注意したい機器です。
参考にした東京電力PGの解説:ブレーカーが落ちた時の対応ガイド / 漏電ブレーカーが落ちた場合の対処方法。
原因② エアコンと同じ回路で電気を使いすぎている
家全体の契約容量には余裕があっても、特定の回路だけに負荷が集中すれば、その回路の配線用ブレーカーが落ちることがあります。
ここも重要です。
「契約アンペアに余裕がある=絶対にブレーカーが落ちない」ではありません。
例えば一つの回路に複数のコンセントが接続されていて、そこで消費電力の大きな機器を同時使用していれば、その回路側の容量を超えることがあります。
エアコンについては、機種や設備条件に応じた専用回路になっているかなども確認します。
原因③ エアコン本体・室外機などで漏電している
ここからは話が変わります。
落ちているのが漏電ブレーカーなら、単純な「電気の使いすぎ」と同じようには考えません。
漏電とは、本来電気が流れるべき経路以外へ電気が漏れている状態です。
例えば、
- 機器内部の絶縁不良
- 配線やコードの劣化・損傷
- 水分や湿気
- 屋外機器の劣化
などが原因になることがあります。
エアコンの場合、室外機は屋外に設置されています。
雨、湿気、紫外線などの影響を受けるため、室外機やその周辺設備も確認対象になります。東京電力PGも、漏電しやすい設備の例としてエアコンの室外機などの屋外機器を挙げています。
特に、
「エアコンを運転すると漏電ブレーカーが落ちる」
のであれば、何度も無理にブレーカーを上げて使い続けるのはおすすめしません。
点検が必要です。
原因④ エアコンや配線の絶縁不良
現場で漏電を疑った場合、「なんとなくエアコンが怪しい」で終わらせるわけではありません。
回路を切り分け、必要に応じて測定を行い、
どこで絶縁状態が悪くなっているのか
を確認していきます。
エアコン本体なのか。
室外機なのか。
そこまでの配線なのか。
コンセントや接続部分なのか。
原因を切り分ける必要があります。
漏電ブレーカーが落ちた場合、分岐ブレーカーを利用して問題のある回路を絞り込む方法もあります。
原因⑤ ブレーカー自体が劣化していることもある
意外と見落とされるのがブレーカー本体です。
長年使用している分電盤では、ブレーカー自体の経年劣化も確認します。
「以前は問題なかったのに最近よく落ちる」
「負荷を減らしても落ちる」
「漏電を調べても原因がはっきりしない」
こういった場合、エアコンだけに目を向けるのではなく、分電盤やブレーカー側も含めて調べる必要があります。
東京電力PGも、漏電ブレーカーや配線用ブレーカーの経年劣化によって動作するケースを案内しています。
電子レンジや洗濯機には、なぜアースをつなぐ場所があるのか
ここで「アース」についても説明しておきます。
電子レンジや洗濯機などを見ると、電源コードとは別にアース線が付いていることがあります。
なぜでしょうか。
アースは、万が一機器から電気が漏れたときの安全性を高めるために重要なものです。
特に洗濯機のように水を使う場所に設置される機器や、電子レンジなどの機器では、適切な接地が重要になります。
機器内部で絶縁不良などが発生して金属部分に電気が漏れた場合、人が触れることで感電する危険があります。
そこで接地を適切に設け、さらに漏電遮断器などと組み合わせることで、感電事故を防ぐための安全対策を行います。
つまり、
「アース線が付いているけど、面倒だからつながなくてもいい」
というものではありません。
設置場所や機器の取扱説明書、設備条件に従って正しく接続してください。
炊飯器を使っているときにブレーカーが落ちることもある
これも実際にあり得ます。
例えば、
エアコンが動いている。電子レンジも使っている。そこへ炊飯器の炊飯が始まる。
すると使用する電気が一気に増えます。
そしてブレーカーが落ちる。
この場合、
「炊飯器を使ったら落ちた=炊飯器が故障している」
とは限りません。
単純に複数の高負荷機器の使用タイミングが重なった可能性があります。
だからこそ、私たちが確認するときは「何を使ったら落ちましたか?」だけではなく、
「そのとき他に何を使っていましたか?」
まで聞きます。
ここが原因を探すうえでかなり重要です。
電気屋が実際に確認するポイント
私ならまず、落ちたブレーカーを確認します。
そのうえで、
いつ落ちるのか、何を同時に使っていたのか、特定のエアコンを動かしたときだけなのか、雨の日など条件によって変わるのか。
こうした情報を整理します。
そこから、
使用電流の問題なのか。
特定回路への負荷集中なのか。
短絡なのか。
漏電なのか。
機器なのか。
配線なのか。
ブレーカーなのか。
と切り分けていきます。
ブレーカーが落ちたという結果は同じでも、原因まで同じとは限りません。
これがこの記事で一番伝えたいところです。
漏電ブレーカーが何度も落ちるなら放置しない
特に注意してほしいのが、漏電ブレーカーが繰り返し落ちる場合です。
漏電は感電や火災につながる可能性があります。
ブレーカーを上げれば一旦使えるからといって、何度も復旧させてそのまま使い続けるのは避けてください。
また、
焦げ臭い・異音がする・ブレーカーを上げてもすぐ落ちる
といった症状がある場合も、自分で分解せず点検を依頼してください。
電気のトラブルは、症状だけでは原因を判断できないこともあります。当サイトでは、実際の電気工事・電気通信工事の現場経験をもとに、家庭の電気トラブルや工事について解説しています。運営者の現場経験についてはこちらのプロフィールをご覧ください。
まとめ|「どのブレーカーが落ちたか」から確認しよう
エアコンをつけたときにブレーカーが落ちても、原因がエアコンとは限りません。
家全体での電気の使いすぎ。
一つの回路への負荷集中。
エアコンや配線の異常。
漏電。
ブレーカーの劣化。
さまざまな原因が考えられます。
だから最初に確認したいのは、
「エアコンをつけたら落ちた」ではなく、「どのブレーカーが落ちたのか」です。
特に漏電ブレーカーが落ちている場合は、単なる使いすぎとは話が違います。
何度も落ちる場合は無理に使用を続けず、電気工事店などに点検を依頼してください。

コメント