「タコ足配線は危険です」
一度くらい聞いたことがあると思います。
でも、なぜタコ足配線は危険なのか、具体的に説明できる人は意外と少ないかもしれません。
家電量販店やホームセンターへ行けば、差込口が6個、8個、10個と付いた電源タップが普通に売っています。
それを見ると、
「こんなに差込口があるんだから、いっぱい使えるってことじゃないの?」
と思いますよね。
しかし、大切なのは差込口の数ではありません。
見るべきなのは、そこにつないでいる電気製品の消費電力と、延長コードや電源タップの定格です。
今回は、実際に我が家で延長コードがかなり熱くなっていた話と、工事現場で火花が出て電源が使えなくなった経験から、タコ足配線が危険と言われる理由を紹介します。
うちの娘の部屋、コンセントだらけでした(笑)
ある時、娘の部屋を見てみると、とにかく電気を使う物が多い。
おしゃれな間接照明。
化粧台の鏡の周りにもライト。
スマホの充電器。
テレビ。
ヘアアイロン。
そしてドライヤー。
まあ、いろいろあります(笑)
当然、壁にあるコンセントだけでは足りません。
そこで延長コードや電源タップを使う。
空いている差込口があれば、そこへまた挿す。
本人からしたら、
「ちゃんと全部使えてるじゃん」
なんですよね。
ところが延長コードを触ってみると、
「熱っ!」
かなり熱を持っていました。
電気屋の家でもこれです(笑)
さすがに見つけてしまったので、
「あかん!火事になるぞ!」
と注意しました。
ドライヤーやヘアアイロンなど、消費電力の大きな美容家電は洗面所側で使う。
使っていない照明なども整理する。
とにかく、一つの延長コードへ何でもかんでも集中させる使い方はやめようという話をしました。

画像内容:間接照明・化粧台ライト・スマホ充電器・テレビ・美容家電などがあり、電源タップ周辺に多数のプラグが集まっている一般家庭の部屋。
ALT:延長コードに複数の家電を接続している部屋
「でもブレーカー落ちてないじゃん?」
ここで疑問に思う人もいるでしょう。
そんなに電気を使っていたなら、
「先にブレーカーが落ちるんじゃないの?」
という話です。
実際、自分も娘の部屋を見て、
「よくブレーカー落ちなかったな……」
と思いました。
でも、家電はすべてが常に同じ消費電力で動いているわけではありません。
ドライヤーは設定によって消費電力が変わる
例えばドライヤー。
冷風で使う。
弱い温風で使う。
最大の熱風で使う。
使う側が設定を切り替えることで、消費電力も変わります。
だから、
「ドライヤーをつないでいる=常に最大消費電力」
とは限りません。
ヘアアイロンは温度を保つため動作が変わる
一方、ヘアアイロンなど温度を一定に保つ機器は少し違います。
設定した温度まで加熱している時と、設定温度へ到達した後では、ヒーターの動作が同じとは限りません。
こっちは分かりやすく言えば、
「鍋のお湯」
に近いイメージです。
水を沸騰させるまでは強火。
沸騰したら火加減を調整しながら温度を保つ。
そんなイメージです。
今回の娘の部屋でも、ドライヤーやヘアアイロンなどが大きな電力を使うタイミングが、たまたま完全には重ならなかった可能性もあります。
ただし、その時に実際の電流を測定したわけではありません。
回路構成や接続されていた機器の状態も含めて確認していないため、
「これがブレーカーが落ちなかった原因です」
と断定することはできません。
そして一番重要なのは、
「ブレーカーが落ちなかったから安全だった」
という話ではないことです。
実際、延長コードはかなり熱くなっていました。
タコ足配線は危険?ブレーカーが落ちなくても安心できない
ここは覚えておいてほしいところです。
NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)は、テーブルタップに接続可能な最大消費電力を超えて電気製品を接続すると、異常発熱や焼損につながる事故があるとして注意を呼びかけています。
実際に、電気ストーブと電気カーペットを接続して最大消費電力を超え、テーブルタップが異常発熱して焼損した事故例も紹介されています。
つまり、
「まだ電気が使えている」
「ブレーカーも落ちていない」
だけで安全とは判断できません。
延長コードや電源タップが、
異常に熱い。
焦げ臭い。
変色している。
プラグや差込口が変形している。
こういった異常があれば、そのまま使い続けないでください。
NITEの注意喚起はこちらです。
延長コードには「何Wまで」が書いてある
自宅の電源タップや延長コードを一度見てみてください。
また、コンセント自体が焦げている、溶けている、差込口が緩いといった症状がある場合は、電源タップだけではなくコンセント側の確認も必要です。
コンセントの焦げや破損、自分で交換していい範囲についてはこちらの記事で紹介しています。
製品によって、
「合計1500Wまで」
など、接続できる最大消費電力が表示されています。
でも正直、
そんなところ毎回見ないですよね(笑)
電気に興味がない人からすれば、
差込口がある。
↓
コンセントが挿さる。
↓
電気が流れる。
↓
普通に動いている。
↓
じゃあ使える。
となってしまうのも分かります。
だから一つだけ覚えてほしいのが、
「差せる」と「安全に使える」は別。
ということです。
8個口だから8台好きに使えるわけではない
今は差込口がたくさん付いた電源タップがあります。
6個口。
8個口。
10個口。
便利ですよね。
ただ、
「10個挿せる=10台の家電を何でも同時に使っていい」
という意味ではありません。
大切なのは数ではなく、
何を接続しているのか。
そして、
合計の消費電力がいくらなのか。
です。
差込口が多い方が便利な使い方もある
だからといって、
「差込口が多い電源タップは危険」
という話でもありません。
例えば、
スマホ。
スマートウォッチ。
ワイヤレスイヤホン。
タブレット。
加熱式たばこなどの充電器。
家族分の小型電子機器の充電場所を一カ所にまとめるなら、差込口が多い電源タップが便利な場合もあります。
もちろん、この場合でも電源タップの定格を確認することが前提です。
問題なのは、
「まだ穴が空いているから、これも挿せる!」
という考え方。
差込口の数と、使える電気の量は別です。

画像内容:多口電源タップを使って、スマホ・タブレット・スマートウォッチ・イヤホンなどをまとめて充電している家庭の様子。
消費電力の大きい家電は特に注意
特に注意したいのが、消費電力の大きな家電です。
例えば、
ドライヤー。
電気ケトル。
トースター。
電気ヒーター。
ホットプレート。
電子レンジなど。
もちろん製品によって消費電力は違います。
だから、
「ドライヤーなら絶対○○W」
と決めつけるのではなく、実際に使用する家電本体や取扱説明書に記載された消費電力を確認してください。
そして電源タップ側も、
「合計何Wまで?」
を確認する。
この2つを見る癖をつけるだけでもかなり違います。
工事現場では実際に「バチッ!」と火花が出た
これは家庭ではなく、工事現場で実際に経験した話です。
小規模な工事現場だと、いろいろな業者が一気に入って作業することがあります。
ところが、使えるコンセントはそれほど多くない。
みんな電動工具などを使いたい。
すると、
「ここから電源取ります」
「こっち空いてる?」
「じゃあここ使います」
と、一つの電源周辺へどんどん集中していきます。
その時も、複数の業者が同時に電源を使っていました。
そして突然、
「バチッ!!」
思いっきり火花が出て、その電源が使えなくなりました。
その時の事故原因を今ここで特定することはできません。
ただ、
「差せたから大丈夫」
「さっきまで使えていたから大丈夫」
ではないということは、身をもって経験しています。
NITEでも、最大消費電力を超えるようなタコ足配線によってテーブルタップが異常発熱する再現実験が公開されています。

画像内容:小規模な工事現場で、複数の延長コードや電動工具が一つの電源周辺へ集まっている様子。
延長コードを束ねたまま使うのも注意
もう一つ注意したいのが、余った延長コードです。
長いから邪魔。
だからクルクルっとまとめておく。
気持ちは分かります。
でも、大きな電流が流れてコード自体が発熱している状態で束ねると、熱が逃げにくくなります。
NITEでは、コードを束ねた状態で使用して発火する再現実験も公開しています。
「余って邪魔だからまとめておこう」
が、使い方によっては危険につながるということです。
詳しい再現実験はこちらです。
今日、自宅の電源タップを触ってみてください
難しい計算をする前に、まず自宅を見てみてください。
テレビの裏。
ベッドの横。
パソコン周辺。
キッチン。
子供部屋。
化粧台周辺。
電源タップがありませんか?
そして、
何がつながっている?
何Wまでの製品?
コードが変色していない?
プラグや差込口が変形していない?
ホコリが溜まっていない?
異常に熱くなっていない?
一度確認してみてください。
特に、
「え?こんなに熱かったっけ?」
と思うような状態なら、
「ブレーカーが落ちてないから大丈夫」
で済ませず、使用を中止して接続している機器や電源タップの状態を確認してください。
まとめ|タコ足配線は「差込口の数」より使う電気量を見る
差込口が10個ある。
だから10個全部使って大丈夫。
ではありません。
逆に、差込口がたくさんある電源タップ自体が悪いわけでもありません。
重要なのは、
何をつないでいるのか。
それぞれどのくらい電気を使うのか。
電源タップや延長コードの定格を超えていないか。
です。
スマホなどの小型機器をまとめて充電するために差込口の多い電源タップを使うのと、ドライヤーやヒーターなど消費電力の大きな家電を同じ電源タップへ次々接続するのでは、話が違います。
そして、
「普通に使えているから大丈夫」
「ブレーカーが落ちていないから大丈夫」
とも限りません。
実際、我が家では延長コードがかなり熱くなっていました。
工事現場では、火花が出て電源が使えなくなった経験もあります。
電源タップや延長コードを見る時は、
「あと何個挿せる?」
ではなく、
「今、何をつないでる?」
を一度確認してみてください。
差込口がたくさんあるから、
「いいね!」
ではなく、
「ここでは何を使う?」
で選ぶ。
これが大切だと思います。

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