太陽光の北側設置は、発電量を考えるうえで注意が必要です。
先日、太陽光・蓄電池・V2Hをまとめて設置した現場がありました。
ただ、現地を見た段階から一つ気になっていたことがあります。
「この条件、発電量はかなり厳しいんじゃないか?」
この記事でわかること
- 太陽光を北側に設置するとどうなるのか
- 実際に「発電しない」と連絡を受けた現場の話
- 点検しても設備に異常がなかった理由
- 太陽光の発電シミュレーションを見るときの注意点
- 契約前に確認しておきたいポイント
目次
太陽光の北側設置は発電量に影響する
まず最初に、北側だから太陽光パネルを絶対に設置できない、という話ではありません。
ただし、設置する方位によって発電量は変わります。
JPEA(太陽光発電協会)も、太陽電池に当たる日射量は設置方位によって変わるため、発電量も変化すると説明しています。
特に北面については、他の方位より発電出力が少なくなるとされています。
つまり、
「屋根にパネルを載せられる」「十分な発電量を期待できる」
ことは別の話です。
ここは太陽光を検討するときに、かなり大事だと思っています。
実際にあった「発電しない」と言われた現場
今回の住宅には、
太陽光+蓄電池+V2Hを設置しました。
太陽光パネルの容量は約2.4kWです。
ところが条件が良くありません。
住宅街なので周辺環境の影響もある。日当たりも決して良好とは言えない。
そして太陽光の北側設置。
施工する側としては、最初から気になっていました。
だから施工前に営業担当へ、
「太陽光の北側設置は条件として良くない」
ということを伝えています。
それでも、お客様が希望されているとのことで設置することになりました。
設置から約1週間で連絡が入った
工事が完了して約1週間。
営業側へ、
「発電量が悪すぎる。不具合ではないか」
という連絡が入ったそうです。
そこで現場確認へ向かいました。
正直、「やっぱりそうなったか……」という感じです。
点検しても太陽光設備に異常はなかった
もちろん「北側だから仕方ないですね」で終わらせるわけにはいきません。
本当に設備側に問題がある可能性もあります。
そこで確認しました。
しかし、結果としては、
設備に明らかな異常は見つかりませんでした。
施工した設備そのものが故障して発電していない、という話ではなかったんです。
となると、やはり考えなければならないのが、
そもそもの設置条件です。
2.4kW+日当たり+北側設置という条件
今回の太陽光容量は約2.4kW。
さらに周辺環境によって日照条件が良いとは言えない住宅です。
そこへ北側設置。これらを全部無視して、
「太陽光を付けたんだから、これくらい発電するはず」
とは考えられません。
JPEAも、住宅へ太陽光を設置するときには、屋根の面積・形状・方位・傾斜に加え、周囲に高層建築物や樹木など日射を遮るものがないか確認することを案内しています。
今回の現場を見て、改めてここは重要だと思いました。
一番気になったのは発電シミュレーション
今回、自分が一番気になったのはここです。
お客様は、どんな発電シミュレーションを見て契約したんだろう?
お客様の反応を見る限り、事前に想定していた発電量と、実際の発電量にはかなり差があったのだと思います。
ただし、私は営業担当がお客様へ提示したシミュレーション資料そのものを確認していません。
そのため、「営業が間違った数字を出した」とは断定できません。
でも、一つだけ言えることがあります。
シミュレーションは、その家の条件に合わせなければ意味がない。
ということです。
南向きの家と北側設置の家を同じように考えない
例えば、
周囲に日射を遮るものが少ない。屋根の向きも良い。十分な容量のパネルを載せられる。
そんな住宅と、住宅が密集している。日照条件も良くない。北側へ設置する。パネル容量も約2.4kW。
この住宅を、同じ条件で考えることはできません。
JPEAが示す一般的な年間発電量の例でも、方位や傾斜角度、地域などによって実際の発電量は変わることが明記されています。
だからシミュレーションを見るときは、
「この数字は、ちゃんとうちの家の条件で計算している?」
ここを確認してほしいです。
シミュレーションは「いい数字を見るもの」ではない
太陽光のシミュレーションって、どうしても、
年間○○kWh発電します。電気代が年間○万円下がります
という数字に目が行きます。
当然ですよね。
高いお金を払うわけですから、
「これだけメリットがあります」と言われれば気になります。
でも、本当に重要なのは数字の大きさではありません。
その数字が、どんな条件から計算されたものなのか。
ここです。
実際、JPEAの発電量表示ガイドラインでも、年間推定発電量については、影・積雪・経年劣化・出力制御などの影響が考慮されていない場合があることを併記する考え方が示されています。
シミュレーションは未来を保証する数字ではありません。
だからこそ、条件の確認が大切です。
太陽光・蓄電池・V2Hは安い買い物ではない
今回の住宅は太陽光だけではありません。
蓄電池。V2H。
ここまで設置しています。
安い買い物ではありません。
だから自分は、
契約を取るために「良く見える数字」を出すのではなく、
その家で現実的にどれくらい発電できそうなのか。
これを伝えることが大事だと思っています。
設置したあとになって、
「思っていたのと全然違う」
となっても遅いんです。
設備は何年も使い続けます。
条件が悪い住宅ほど1社だけで決めない
ここは、これから太陽光を検討する人に伝えたいところです。
もし自分だったら、北面。周囲に建物が多い。影が入りやすい。屋根が小さい。
こういった少し条件の難しい住宅なら、1社のシミュレーションだけで判断しません。
別の会社にも同じ住宅条件でシミュレーションしてもらいます。
例えば、
A社は年間3,000kWh。
B社は2,400kWh。
C社は2,500kWh。
仮にこんな違いが出たら、
「なんでA社だけこんなに高いんだろう?」
と考えられます。
数字が違ったら、その理由を聞けばいいんです。
JPEAも太陽光導入時には、複数の業者へ見積もりを依頼して比較検討することを推奨しています。
北側設置では発電量以外にも注意したい
北面には、もう一つ注意点があります。
反射光です。
JPEAは、北面方向の屋根へ太陽電池モジュールを設置する場合、近隣住宅へ反射光が差し込む可能性があるため、その影響も考慮する必要があるとしています。
住宅街では特に、
「自分の家に設置できるか」だけで判断しない。
周囲への影響まで含めて検討する必要があります。
営業担当に引き継いだ、その後
現場確認が終わり、
設備側に明らかな異常がないことを確認しました。
そこから先は営業担当へバトンを渡しています。
お客様へどのような説明をして、最終的にどういう話になったのか。
残念ながら、自分はそこまでは分かりません。
その後、その営業担当もいなくなってしまいました。
だから余計に思います。
売った人がいなくなっても、設備はその家に残ります。
太陽光も。蓄電池も。V2Hも。
設置したら何年も使う設備です。
だから販売するときの説明って、本当に大事だと思います。
太陽光を契約する前に確認してほしい5つ
これから太陽光を検討するなら、最低でも次の5つは確認してほしいです。
1.パネルをどの方位に設置するのか
南・東・西・北。
まず屋根のどこへ載せるのか確認します。
2.周囲に影を作るものがないか
隣家。マンション。樹木。電柱など。
時間帯によって影が入ることもあります。
3.何kW設置できるのか
「太陽光を付ける」だけではなく、実際に何kW載るのかを確認します。
4.シミュレーションの条件
どんな条件で年間発電量を計算したのか。
ここを聞いてください。
5.他社でも同じ条件で計算してもらう
特に設置条件が良くない住宅なら、一度比較してみる。
自分ならそうします。
まとめ|「設置できる」と「十分発電する」は別の話
今回の現場では、
太陽光。蓄電池。V2H。
すべて設置しました。
そして約1週間後、
「発電量が悪すぎる。不具合ではないか」
と連絡が入りました。
しかし確認してみると、設備そのものに明らかな異常はありませんでした。
そこで改めて浮き彫りになったのが、
日照条件・設置方位・パネル容量です。
北側だから絶対に設置してはいけない、と単純に言うつもりはありません。
でも、
「載せられるから載せる」
だけではダメだと思います。
その家で、
どのくらい発電が期待できるのか。
どんな条件でシミュレーションしているのか。
その数字は現実的なのか。
ここまで納得してから契約してほしい。
太陽光・蓄電池・V2H。
どれも安い買い物ではありません。
設置してから後悔するより、契約する前に数字を疑ってみる。
施工する側として、今回の現場を見て改めてそう思いました。

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