「太陽光を設置してから雨漏りするようになった」
こう聞けば、
「太陽光工事で屋根や防水を傷めたんじゃないの?」
と思うかもしれません。
実際、自分たちも太陽光と雨漏りの関係を調べてほしいと依頼された場合、まず施工した場所を疑って確認します。
でも、これまで自分が実際に見た現場では、まったく逆の結果になった2件がありました。
一件は、最上階の部屋でひどい雨漏りが発生していた集合住宅。
屋上には4年前に太陽光パネルが設置されていましたが、調査の結果、太陽光工事が原因ではありませんでした。
もう一件は瓦屋根。
こちらは屋根裏を確認すると、太陽光パネルを固定する金具の取付箇所と水のにじみ跡が一致。
最終的には屋根をすべて交換する大掛かりな工事になりました。
今回は、実際に現場で見たこの2件から、「太陽光を設置している家で雨漏りした=太陽光工事が原因」とは簡単に判断できないという話を書いてみます。
太陽光設置から4年後、集合住宅でひどい雨漏り
最初の現場は集合住宅でした。
自分たちが太陽光設備を施工した物件ではありません。
元請けから連絡があり、
「雨漏りが発生しているので、太陽光工事との関係がないか現地を確認してほしい」
という依頼でした。
事前に聞いていた状況は、
- 集合住宅の最上階にオーナーさんが住んでいる
- 一室でかなりひどい雨漏りが発生
- 壁を剥がしたところ内部がカビだらけ
- 約4年前に屋上へ太陽光パネルを設置
- 当時の施工会社とは現在連絡が取れない
- 太陽光工事の際に防水を傷めた可能性が疑われている
というものでした。
ここまで聞けば、自分たちも当然、
「まず太陽光を施工したところを確認しよう」
となります。
特に気になったのが、
屋上防水と配線を通した貫通部です。
太陽光の雨漏りを疑い、まず屋上防水を確認
現場に到着して、まず屋上へ。
事前情報だけでは、太陽光パネルがどのような方法で固定されているのか分かりませんでした。
屋上を確認すると、施工方法は置き基礎でした。
簡単に言えば、屋上へ基礎を設置し、その上に架台を組んで太陽光パネルを載せる方法です。
ここで一つ、
「屋上へ直接アンカーなどを打って固定しているわけではないんだな」
と分かりました。
ただし、
置き基礎だから絶対に問題ない
とは考えません。
次に気になったのが、置き基礎と屋上防水が接触している部分です。
置き基礎の下まで確認する
もし置き基礎の下に何も保護材がなく、防水層へ直接載せていたらどうか。
長期間の荷重などによって、防水層を傷めている可能性も疑います。
そこで基礎下を確認しました。
すると、すべての置き基礎の下に厚めのゴムが入っていました。
さらに確認すると、コーキング処理をしたと思われる跡も見られました。
周辺も確認して、
- 防水層に破損らしい箇所がないか
- 水が溜まっているような異常がないか
- 基礎周辺に気になるところがないか
などを見ましたが、自分たちの目では雨漏りにつながりそうな明確な異常を確認できませんでした。
となると、次に疑う場所があります。
太陽光配線の壁面貫通部も確認
太陽光パネルで発電した電気をPCS(パワーコンディショナー)まで持っていくには、当然ケーブルを通す必要があります。
この建物では、オーナーさんの自宅部分を一部コア抜きして、室内へのケーブル入線口が設けられていました。
雨漏りを調べるなら、ここもかなり気になります。
壁に穴を開けてケーブルを通している以上、防水処理が悪ければ水の侵入口になる可能性がある。
恐る恐るカバーを開けて確認しました。
ところが、
しっかり施工してある。
コーキングや粘土で防水処理されていて、水が入ったような形跡は確認できませんでした。
さらに室内側の入線口も確認。
こちらにも水が流れたような跡やシミは見当たりません。
少なくとも目視した範囲では、
「ここから水が入っていますね」
と言える状態ではありませんでした。
室内を確認しても太陽光工事につながる水跡がない
雨漏りしていた部屋は、すでに床や壁がすべて剥がされていました。
カビも清掃され、乾燥させている途中です。
そこで室内側も改めて確認しました。
もし太陽光工事で開けた貫通部から水が入っているのであれば、それにつながるような水跡がないか。
しかし、ここでも太陽光工事の貫通部から水が入ったと判断できるような跡は見つけられませんでした。
再び外へ。
外壁側も確認。
屋上も再確認。
ビス穴や貫通部周辺も見ます。
それでも防水処理はされていて、
自分たちの目では太陽光工事が雨漏りの原因だと判断できるものは見つかりませんでした。
そこでオーナーさんと元請けへ、
「確認した範囲では、太陽光設備側に雨漏りの原因と思われる箇所を確認できない」
という状況を説明。
後日、雨漏りの専門業者に詳しく調査してもらうことになり、その日は現場を離れました。
1週間後「太陽光工事が原因ではありませんでした」
それから約1週間後。
結果の連絡が入りました。
「太陽光工事が原因ではありませんでした」
良かった。
こちらが施工した現場ではないとはいえ、太陽光設備に問題がなかったことは確認できました。
ただ、その話を聞いた瞬間に思わず、
「原因教えてくれよー!」
と言ってしまいました(笑)
あれだけ屋上から貫通部、室内まで確認したら、何が原因だったのか気になります。
しかし、
「お客様設備側の問題」
ということで、詳しい原因については聞けませんでした。
残念ながら、ここは今でも分かりません。
でも、この経験だけなら、
「やっぱり太陽光と雨漏りは関係ないじゃないか」
という話になるかもしれません。
ところが、もう一つまったく逆の現場を経験しています。
本当に太陽光工事が原因と判断できた瓦屋根
こちらも弊社が太陽光パネルを設置した物件ではありません。
元請けから、
「屋根を修繕する必要があるので手伝ってほしい」
と依頼されて入った現場です。
すでに雨漏りについて調査が進められており、自分も勉強のため屋根裏を見せてもらいました。
屋根裏へ入って確認すると、
明らかに水がにじんだ跡が数カ所あります。
先ほどの集合住宅とは全然違います。
「どこから入ったのか分からない」
という状態ではありませんでした。
水のにじみと太陽光架台の金具位置が一致
水跡を確認していくと、その位置には太陽光パネルの架台を固定するための金具が取り付けられていました。
金具が取り付けられている場所と、水がにじんでいる場所が一致していた。
しかも一カ所だけではなく、数カ所確認できました。
この現場では、
太陽光架台の金具取付箇所から雨水が侵入していると判断できる状態
でした。
集合住宅では、
「太陽光が怪しい」
と言われて調べても、太陽光工事との関係を確認できなかった。
こちらでは逆に、
屋根裏を見れば、太陽光の施工箇所と雨漏りの跡がつながっている。
同じ「太陽光を設置している建物の雨漏り」でも、状況はまったく違います。
最終的には屋根をすべて交換
その後、お客様と元請けで話し合いが行われ、屋根をすべて交換することになったそうです。
部分的な補修ではありません。
工事には、
- 大工さん
- 瓦屋さん
- 元請け
- そして電気工事として弊社
が入りました。
太陽光設備や屋根を含めて修繕を行い、工事期間は約1週間。
かなり大掛かりな工事になりました。
屋根へ設置する太陽光設備の場合、施工を間違えた時の影響がどれほど大きくなる可能性があるのか。
実際に屋根裏の水跡を見て、その後の全面交換まで経験すると、改めて考えさせられます。
「太陽光=雨漏りの原因」と決めつけるのは違う
今回紹介した2件は、まったく逆の結果でした。
集合住宅では、
太陽光が原因ではなかった。
瓦屋根では、
太陽光架台の金具取付箇所と雨漏りの跡が一致していた。
だから自分は、
「太陽光を設置すると雨漏りする」
とも思いません。
逆に、
「太陽光工事で雨漏りなんて起きない」
とも言えません。
大切なのは、最初から原因を決めつけないことです。
屋上防水なのか。
基礎なのか。
配線の貫通部なのか。
屋根の金具なのか。
それとも太陽光とはまったく別の場所なのか。
実際に現場を確認して、一つずつ可能性を潰していく。
結局これしかありません。
太陽光と雨漏りのトラブルほど施工記録が重要
そして施工する側として、改めて重要だと思うのが写真と施工記録です。
太陽光は設置して終わりではありません。
今回の集合住宅のように、設置から4年経ってから雨漏りを疑われることもあります。
その時、
「当時どうやって施工したのか」
が分からなければ、調査する側も大変です。
例えば、
- 施工前の屋根・屋上の状態
- 架台や金具の取付状況
- 防水処理
- 貫通部
- コーキング処理
- 配線ルート
- 施工後の状態
こうした写真が残っていれば、数年後に何か起きた時にも確認材料になります。
施工時には、
「こんな写真、本当に必要?」
と思うこともあります。
でも数年後、その一枚が重要になるかもしれません。
工事前の状態を写真や記録に残す重要性については、別の記事でも実際に経験したトラブルを紹介しています。「工事後に電化製品が動かない」と言われた実例についてはこちら。
太陽光は「誰が施工するか」も考えた方がいい
もう一つ感じたのが、施工会社の存在です。
集合住宅では、太陽光を設置した会社とはすでに連絡が取れない状態でした。
そのため、施工とは関係のない弊社へ調査依頼が来ています。
4年前に工事した会社へ、
「当時どう施工したんですか?」
と聞くことすらできない。
これは施主側からすると困ります。
太陽光発電は、設置して数カ月使って終わる設備ではありません。
長期間使用するものです。
だから価格やパネルの性能だけでなく、
「何かあった時、この会社に相談できるのか」
という部分も施工会社選びでは大切だと思います。
これは太陽光に限った話ではありません。太陽光と一緒に検討されることが多い蓄電池でも、施工会社選びの重要性は同じです。蓄電池の業者選びで失敗しないために。施工側の人間が本音で解説しますでも、この点について詳しく書いています。
まとめ|太陽光と雨漏り、答えは現場を見なければ分からない
今回の2つの現場から、自分が感じていることは全部です。
雨漏りが起きれば、過去に行った工事が疑われることがある。
だから施工記録は残した方がいい。
屋上に太陽光があるからといって、必ず屋上へ穴を開けているわけではない。
施工方法によって違います。
雨漏りの原因特定は難しい。
目で見ただけでは分からないこともあります。
施工会社と連絡が取れなくなることもある。
だから施工会社選びも重要です。
そして何より、
太陽光が原因ではなかった現場もあれば、本当に施工箇所から雨漏りしていた現場もある。
だから、
「太陽光を付けたから雨漏りした」
と最初から決めつけない。
逆に施工業者も、
「うちの工事が原因のはずがない」
と決めつけない。
現場を見て、確認して、一つずつ原因を探していく。
結局、それが一番大事なんだと思います。
ちなみに集合住宅の雨漏り。
太陽光が原因じゃなかったことよりも、
結局、何が原因だったのか。
今でもそっちが気になっています(笑)
太陽光と合わせて蓄電池の設置も検討している方は、太陽光発電に蓄電池を後付けする費用は?知っておきたい相場と注意点もあわせてご覧ください。

コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 現場では、最初に聞いた症状と実際の原因が一致しないこともあります。以前紹介した太陽光設備がある建物の雨漏り調査でも、太陽光が疑われながら実際には別の原因だったケースがありました。 […]